高速道路の定義と種類 2021年5月9日(日)公開
2021年5月9日(日)更新
このページの位置
STKホームページ(道路館) > 13.コラム > 13.2.高速道路の定義と種類(このページ)
.
目次
 ○高速道路の定義
 ○高速道路が複数存在する理由
.
高速道路の定義
 「高速道路株式会社法」及び「道路交通法第108条の28に基づく国家公安委員会の告示である交通の方法に関する教則」に則り、次の道路を「高速道路」と定義します。
 ○高速自動車国道
 ○自動車専用道路
 しばしば誤解されますが、「通行料」や「最高速度」、「車線数」、「道路名」は、高速道路であるか否かには関係ありません。簡単に言えば、緑色の標識がある道路はほぼ全てが高速道路に当たります。少し難しい言葉で言えば、道路構造令の第1種と第2種に当たる道路はほぼ全てが高速道路に当たります。
 一般道路と勘違いされがちな高速道路の例を以下に挙げます。
 ○E38 道東自動車道(本別IC以東):無料/最高速度は通常70km/h/暫定2車線(片側1車線)
  この道路は高速自動車国道(北海道横断自動車道)なので、高速道路に当たります。
  国と地方(北海道)が建設費を全額負担したため(新直轄方式)、無料で通行できます。
  計画上は4車線ですが、建設費削減のため、暫定的に2車線で供用しています。
  そのため(中央分離帯がない)、制限速度は通常で70km/hに設定されています。
 ○E6 仙台東部道路:一般国道6号
  この道路は自動車専用道路(※)なので、高速道路に当たります。
  (※高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路)
  道路名は「道路」で一般国道6号に指定されていますが、高速道路です。
 ○C3 東海環状自動車道:一般国道475号
  この道路は自動車専用道路(※)なので、高速道路に当たります。
  (※国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路))
 ○阪神高速12号守口線:最高速度は最大で60km/h/大阪府道、大阪市道
  この道路は自動車専用道路(※)なので、高速道路に当たります。
  (※地域高規格道路の一つである都市高速道路)
  設計速度が60km/hなため(※)、昼間の最高速度は60km/hに規制されています。
  (※道路構造令第2種第2級)
  大阪府道高速大阪守口線と大阪市道高速道路森小路線ですが、高速道路です。
 ○E25 名阪国道:無料/最高速度は最大で70km/h/一般国道25号
  この道路は自動車専用道路(※)なので、高速道路に当たります。
  (※高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路)
  用地買収や利便性、道路規格、建設費などの点から無料となっています。
  道路規格が低いため(準高速道路扱いで特例を適用)、最高速度は高くありません。
  道路名は珍しいものですが、れっきとした高速道路です。
.
高速道路が複数存在する理由
 古くは我田引水、明治・大正・昭和期には我田引鉄、そして昭和・平成・令和と今に続くのが我田引道―「我が町に高速道路を」である。高速道路を望む地方と政治家(道路族)、そして、高速道路建設を進める建設省(国土交通省)と日本道路公団(のちに分割民営化)―法をかいくぐる中で生み出されたのが、複雑な高速道路体系である。
 それでは、日本の高速道路の大部分を占める3つの高規格幹線道路について見ていこう。
交通規制の違い 法定速度
(最高速度)
法定速度
(最低速度)
小型特殊
自動車
大型特殊自動車 牽引自動車の
車両通行帯
A路線
(※1)(※2)
100km/hまたは
80km/h(※5)
50km/h 通行不可 最低速度を満たす
ものは通行可
第一通行帯
(※6)
A'路線(※3)
B路線(※4)
60km/h 規制なし 通行可 通行可 規制なし
(※1)高速自動車国道
(※2)対面通行でない区間の本線車道。対面通行である区間はA'路線・B路線に同じ。
(※3)高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路
(※4)国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)
(※5)車種により異なる。
(※6)重被牽引車牽引中のものに限る。但し、一部例外を除く。
なお、標識で規制がなされている場合を除く。
 上の表を見ると分かるように、「これぞ高速道路」と言えるのは高速自動車国道(対面通行区間を除く)に過ぎない。元々、日本の高速道路と高速自動車国道はニアリーイコールであったことの証左である。
 1966年時点では、国土開発幹線自動車道(高速自動車国道)の計画延長は7600kmだった。これは「国土開発幹線自動車道建設法」という法律で定められたもので、財政上や採算上、無秩序な高速道路建設に歯止めをかけるものであった。地方や政治家にとって高速道路が欲しくとも、法律が壁となって実現できなかったのである。
 そこで、高速道路が欲しい政治家たちは、「一般有料道路」を建設する手を打った。一般有料道路ならば、法律に関係なく建設を進めることが出来る。こうして、「高速道路のような国道」が各地に計画、建設されるようになった。これが「隠れ高速」である。近い将来、高速自動車国道に格上げされることを狙ったのである。
 1987年、第四次全国総合開発(四全総)に基づき、高速自動車国道の計画延長は3920km増え、11520kmとなった。新たに増えた路線・区間の中には、前述の「隠れ高速」に重複する全ての箇所が含まれていた。「隠れ高速」はのちに「高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路」となり、実際に一部は高速自動車国道に格上げされていった。かくして、政治家たちの狙いは成功したのである。
 一方、四全総で国土開発幹線自動車道に指定されなかった路線(2300km)は、「国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)」とされた。
費用負担の違い 都道府県
政令指定都市
日本道路公団
高速道路会社
高速道路機構
A路線(有料道路方式) 負担なし 負担なし 全額
A路線(新直轄方式) 3/4 1/4 負担なし
A'路線(直轄方式)
B路線
2/3 1/3 無料道路の場合は負担なし
有料道路の場合は一部負担
※北海道並びに沖縄県は上記より負担割合が軽減されている(特例)。
 このようにして、日本には複数の高速道路が生まれたわけだが、当然ながら財源は道路によって異なっている。それをまとめたのが上の表である。
 高速自動車国道はほぼ全てが有料道路として供用されている。それが有料道路方式で、全国プール制を採用しているため、均一区間や一部区間を除き、高速自動車国道によって料率が異なるということがない。東名高速道路や名神高速道路といった大動脈の収益を全国の高速自動車国道で使うことが出来るため、閑散区間も幹線区間と同様に比較的低廉な料金で通行することが出来る。
 一方、「隠れ高速」こと、高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路は、あくまで当該道路単独で建設費を償還しなければならない。国と都道府県・政令指定都市で建設費を全額負担した場合は無料道路として供用されるが、一部でも高速道路会社が負担した場合は当然有料道路となる(一般有料道路)。先に述べたように、隠れ高速は高速自動車国道として整備するには採算上劣るが故に、一般有料道路として建設された。そのため、通行料金は割高となる。その結果、通行量が伸び悩む道路が少なくない。
 なお、高速自動車国道の新直轄方式は、高速道路会社任せにしていると高速自動車国道の供用が進まないという懸念を払拭するため、2003年に設けられた新たな制度である。新直轄方式という名称は、一般有料道路の直轄方式に対する新たな制度という意味がある。新直轄区間は主として、採算が取れない区間、或いは早期供用を地方が求める区間が選定されている。
 まとめると、以下のようになる。
 ○高速自動車国道
  国にとって重要な道路。
  ○有料道路方式
   本来の高速自動車国道はこの方式。
   高速道路会社が負担するので、国と地方の負担はなし。
   通行料で建設費を賄うため、供用がなかなか進まない。
  ○新直轄方式
   上の有料道路方式では供用が進まないので、地方が要望するのがこの方式。
   もしくは、採算性が低いため高速道路会社に負担させるのが困難な時に使う方式。
   国と地方が全額負担するので、無料道路となる。
   国と地方の負担の比率は3:1で、他の方式より国の割合が大きい。
  ○直轄方式(高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路)
   緊急性が低い高速自動車国道を整備する方式。
   新直轄方式より国の負担割合が少なく、国と地方の負担の比率は2:1。
   費用捻出や受益者負担の点で問題がある場合は、高速道路会社に一部を負担させて有料道路にする。
 ○国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)
  地域にとって重要な道路。
  高速自動車国道より概ね優先度が低いので、国と地方の負担の比率は2:1。
  費用捻出や受益者負担の点で問題がある場合は、高速道路会社に一部を負担させて有料道路にする。
 ※隠れ高速にご興味のある方は、『日本道路公団 借金30兆円の真相』(著者:NHK報道局「道路公団」取材班/出版:日本放送出版協会)をご覧されたい。
 道路構造は同じで区間が連続していても、高速自動車国道から一般有料道路に入るとこのような標識が現れる。
 高速自動車国道では必要ない標識(規制)も、一般有料道路(高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路)では必要となる。これらの標識がなければ、最低速度はなく、最高速度は60km/h、トレーラーはどの車線でも走れてしまう。
(E1A 伊勢湾岸自動車道:一般国道302号伊勢湾岸道路/上り:飛島IC付近)
 一般有料道路から高速自動車国道に入ると「ここから高速道路」という標識が現れる。
 この文言は間違いで、既述の通り、自動車専用道路は高速道路の一つであるから「ここから高速自動車国道」とすべきである。この文言故、「高速道路=高速自動車国道」であるとか、「自動車専用道路=高速道路ではない」という誤った認識に繋がっているのではと思う。
 この標識の重要な目的は、「交通規制」と「料金制度」が異なることを周知することである。
(E1A 伊勢湾岸自動車道/上り:東海IC・JCT付近)
 この標識に間違ったところはないが…。
 「E25 名阪国道」は高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路であるから、「一般国道」と大きく表記することで、運転者に「最高速度(法定)は60km/h」と認識させているのだろう。
 自動車専用道路なので、これでも一応高速道路である。
(E25 名阪国道:一般国道25号/上り:天理IC付近)
 道路に詳しい人にとっては、「道路の種別を教えてくれる標識を照明付きででかでかと設置するなんて…(税金の無駄遣い)」と思うかもしれない。単に「60km/h」の最高速度の標識を設置すればよいのだ。
 緑字ではなく青字なのは、やはり速度を落として欲しいからか。
(E25 名阪国道:一般国道25号/上り:五月橋IC〜治田IC)

当サイトの文章や写真などを無断で複製することを禁止します
Copyright (c) "STK homepage" and "RICOH" 2003-2021 All Rights Reserved